髭が剃れない。頬は出てきた汁が固まってはりつき、よりガチガチに。首の皮は少し柔らかく。まだ目が開け辛い。


掻きむしった跡がかさぶたとなって胸の下辺りに広がっている。背中は、皮膚がガサガサに硬くなり、斜めに皺が多数走っている。壮絶なかゆみと闘う日々。

医者がする薬の説明は
「たくさん塗れ」だけ


 子どもの頃にじんましんに悩まされていたという遠藤さん。「卵は食べたらアカン」と言われていたそうですが、「給食などで出ますからね。食べとったです(笑い)」。お尻にプツプツが出るものの、薬を塗るまでには至らず、そのうちに消退。

 また、中学生ぐらいまで、風邪をひくと喘息の症状も出ていたそうですが、特にそのために薬を大量 に使うことはなく、大人になるにつれて、喘息だった記憶も薄れていきます。
「社会人になって、溶接の仕事をするようになると、その煙で、一時喘息がぶり返し。根は持ち続けていたのでしょうね」。しかし、その仕事から離れると、もう喘息に悩まされることはありませんでした。

 アトピーらしい症状が出始めたのは、25から26歳にかけての頃です。陰嚢湿疹かと思われたかゆみに始まり、顔や首の、毛の生え際あたりがかゆくなり出します。湿疹がはっきり現われるようになったのを機に、総合病院を訪ねています。

「自宅用に処方されたのは、ロコイド(酪酸ヒドロコルチゾン、糖質副腎皮質ホルモン・強い血管収縮作用がある)やマイザー(ジフルプレドナート、合成副腎皮質ホルモン)といった薬でした。治療に用いられたのは、何なんでしょうね。大きな缶 に入った薬を、看護婦さんが手袋をして、パテを埋めるように全身に塗ります。こちらは裸になって、手を上げて。で、薬がはげないようにと、上薬を塗って、その上から包帯を巻かれました。ステロイドの封じ込めです」。いわゆる密封包帯法(ODT法=occlusive dressing technique)です。ステロイド成分は油溶性。上薬として用いられた白色ワセリンの油によって、さらに体に吸収されやすい状態にされたのです。

「塗れば塗るほどいいがや」と聞かされ、それ以外には、もちろん薬の副作用について説明などはありません。
「塗ったら2〜3日で退いていくし、かゆみもすぐに止まるもんで、たくさん塗ればいいと思い込んでいました」それから4年間、「薬が切れたら病院に通 い、診察室でたっぷり塗られ」を繰り返していた遠藤さんですが、どこからか聞こえてくる「評判」を追って、病院を替えるようになりました。

「ステロイドは良くないという噂も耳に入ってきたので、違う薬をと言うと、シール状の貼り薬が出されました。貼ればすぐ炎症は消えました」
「それも残念ながらステロイドです。貼るタイプのものは一見弱そうでいて、その実、作用は強力で、体に吸収されやすくなっています」(宮治カウンセラー)

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