![]() |
![]() |
![]() 完治して2年半。その後も汗をかくお風呂の入り方が好きで続けている。色素沈着は気にならない。 |
![]() |
![]() |
|
|
治って初めて 周りの愛情・協力に感謝 掻き傷の跡、色素沈着、皮膚の荒さは、その後もしつこく残りましたが、その症状に気分を落ち込ませることはなく、遠藤さんは、社会復帰も視野に入れて、体作りのために湯治時間を減らすことはしませんでした。 「リハビリのためと運動するよりも、睡眠と湯治をとにかく優先させていたんです。1日4時間ペースの湯治は1年近く続けました」 湯治開始から1年近く経った平成8年5月、このあたりで少し時間を減らすことにしたのだそうですが、それでも1日2〜3時間。もう普通 の水道水だけのお風呂でした。夏を迎え、汗をかいてもかゆくなく、しかも、睡眠が夜型に戻り、体の内部が整った実感を得て、社会に復帰します。それが平成8年の夏でした。これを以って完治と、カウンセラーも見極めました。 「湯治を始めて最初の2カ月、4カ月は、自分のことしか考えていない毎日でした。後になって周囲のみんながしてくれたことの一つひとつを思い、ようやく感謝できるようになれました」。きっとかゆみが、皮膚から優しい心まで、すべてを覆い尽くしていたからなのでしょう。 仕事に行き始めてから遠藤さんは自転車を始めました。それは、ツール・ド・能登というレースにも参加するほどの本格的なものです。「アトピーになる前から友達に誘われていたんですよ。治ったことをいいきっかけとして、挑戦することにしました。多分、心に期するものがあったんじゃないかな」 健康になれた証を実感として得るために、週末はロードに出る遠藤さん。湯治中中断していた草野球にも復活して、積極的に「健康体」を楽しんでいるかのようです。 「今、離脱や一進一退の最中にある人に、『自信を持って続ければいい』と伝えたいです。薬を使わずにアトピーを治していると周りの人が知ったら、 『これが効くらしいよ』とか、『病院へ行かなきゃ』とか、あれこれ言われたりもするでしょう。でも、湯治に専念する。俺がそうだった。湯治一つに絞っていないと、かえって回り道するんじゃないかな。自分の信じたことを最後まで貫くことです」と、アドバイスしてくださいました。 今まで堂々と社会を渡ってきた人が、皮膚1枚炎症に覆われただけで、自信も尊厳も失っていく。存在そのものを恥ずかしくさえ思い、人の目を避けずにはいられなくなる。それはあまりにも悲しいことです。本来の肌ではない“化けの皮”を、代謝を高めて自らの肉体から追い出した遠藤さんは、再び、堂々と颯爽と社会へ戻ることができました。努力が実を結び、とてもとても短期間で。 「何が幸せって、普段通りでいられることですよね。でも人間は、普段を一度失わないことには、残念ながらそのありがたさに気づかないんだよね」。自信に満ちた笑顔が印象的に輝きました。 |