湯治開始前
湯治経過日数14日
湯治経過日数163日
心身の健康と気力の充実が、表情や目の光からもうかがえる。すっかり完治し、生活そのものも充実し、目標を設定し、楽しく毎日を過ごしている。
 私がステロイドを使わなかったのは、単純に嫌だったからである。最初の皮膚科で処方された軟膏は、発疹はひくが周囲に出る、ひいた後皮膚が薄くなる感じで薄赤くヒリヒリするものだった。病院にいっても相手にされない。2、3回塗って嫌になり、捨ててしまったこの薬こそステロイドだった。以来どの病院でだされても、塗らずに捨ててしまった。炎症が腕に広がり、手袋をした看護婦さんがベットリ塗ってラップで巻いてくれたことがあった。一週間その状態でいるように言われ気分が悪かったが、その頃オムバスの本を立ち読みし、やはりこの薬は嫌だと確信して3日目に外してしまった。案の定ウソのように治まりかけていた皮膚は、4日目にむくむくと盛り上がって黄色い汁を吹き出し始めた。「医者の指示通りにやらないから」という周囲の声を後目に「この薬では治らない」と思い続けてきた。逆にその本の写真は強烈で、自分の症状と同じとはとても思えなかったが、回復写真の皮膚を見ると、「治るっていうのはこういうことよ」と思わずにはいられなかった。
 私は人よりトロかったり鈍かったりするところが多く、加えて自分に自信が持てないので、勘に頼るとか、適切な状況判断をするということがすこぶる苦手であった。しかしこの判断だけは、当時の私としては偉かったと誉めてやりたい。
 また、湯治とともにできたたくさんの時間は、自分を見つめ直す良い時間だった。必死に病院を渡り歩いていた頃は、なんと日記に「何もストレスを感じないのに」と書いている。今思えば、自分の感性をかなり封じ込めていた。大切なことを感じとれないでいたのである。一般的にあるべき姿に自分を当てはめなければいけない、出来ないのは自分が未熟だから・・・といったところか。自分の個性、自分の叫びを頭から否定していたのだ。

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