かゆみや炎症が退き、すっかり健康に自信をつけて「卒業」へ。身長は湯治開始時から20cmも伸びた。自信を感じさせるしっかりした表情は、内面的な成長の証。
 
スナック菓子や
炭酸飲料が消えた


 間食が心に与える満足感は大きいもの。スナック菓子や炭酸飲料の大好きな慶彦くんが、それを取り上げられるのは辛かったでしょう。
「周りが食べてると、『俺が食べないんだから、お前らも食べるなー!』って。ダメって言っても自分で買ってきて食べちゃうし」とお母さんが言えば慶彦くんは、「家にはないから。買ってあったとしても、帰る前に食べられてる。帰ったときにはもうない」と口をとがらせます。
 スナック菓子や炭酸飲料に含まれる添加物が体に悪いこと。そして一進一退のステップを脱出するためには、間食も含めて生活全体を見直さなければならないこと。頭で理解できても、なかなか行動に結びつかないものですが、慶彦くんはここで大きな成長を見せてくれます。
「自分なりに我慢しようとしてましたね。炭酸飲料もポテトチップスも、1カ月に1回食べるか食べないか。良くなりだすと、どうすれば良くなるか自分でわかるらしくて、結構我慢してました」(英子さん)
 炭酸飲料はお茶かスポーツドリンクになり、スナック菓子はおせんべいに。意識の変化と連動して、体に悪そうな添加物の多い食べ物が、家の中から消えていきました。

アトピーかっ飛ばして
もう野球ざんまい!


 湯治開始から丸2年が過ぎた98年6月。6年生になった慶彦くんは、人一倍大きな声を張り上げながら白球を追っていました。
「声が大きいのが取り柄で、『やっぱり慶彦がいないと声が出ないから』なんて言われたんですよ。BチームからAチームに上がれたのも、湯治で培った声のおかげかなって」
 うれしそうに笑うお母さんに、ムッとする慶彦くん。「それはどうかわからない」と、いささか異論がありそうです。慶彦くんが守るショートは、最も技術力を要する守備位置。大活躍した6月の大会で、チームは連勝を重ね、なんと県大会で3回戦まで勝ち進んだのです。学校としても10数年ぶりの快挙でした。
「すっごく、感激した」
 熱かったあの日の感動が、慶彦くんの中にしっかり焼き付いているよう。かゆみはほとんど消え、一進一退の波も小さくなっていました。
 98年の夏は、「ちょっと遊びすぎた」と反省するほどプール通いも。そのせいか少しぶり返してしまいましたが、もう多少のことで落ち込む慶彦くんではありません。
「打った打ったー!」「バカヤロー! 何やってんだ」
 シーズン中はお父さんや弟たちと二つ並んだお風呂に入り、巨人戦を見ながら大騒ぎ。心身の疲れを吹っ飛ばし、ぐっすり眠って明日につなげます。段階を踏んで薄めてきた温泉は、98年10月から入浴剤トピュアに。辛かった2時間の湯治は、就寝前45分の入浴習慣になりました。
「途中で追い抜かれましたもん。『お母さんて、チビー!』なんて言うんですよ(笑い)」
 湯治を始めたとき138pだった身長が158pに。アトピーと闘いながら心も体も大きく成長した慶彦くんの生活は、大手を振って野球一色です。
 野球のどの辺が面白いの? と聞けば、「野球自体がぜんぶ楽しい!」とまた目がキラキラの慶彦くん。この夏も、有り余るパワーをグラウンドで燃焼させていることでしょう。


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