寝ても覚めても必死で掻きむしっていた頃。頬は血とリンパ液で固まり、上半身にはじんましんが出ている。硬かった足の皮膚は柔らかくスベスベになっている。

アトピー予防に
ステロイドを???


 陽奈乃ちゃんのほっぺに湿疹が出始めたのは、生後2カ月のとき。乳児湿疹と診断されたご両親はさほど気にせず、処方された抗炎症剤も使わずに、清潔を保ってようすを見ていたのです。
「アレルギーがありますね」――。お医者さんからそう言われたのは、4カ月検診のとき。そして、紹介されて訪ねたアレルギー専門病院で、いきなりステロイドを出されたのでした。 「アトピーとは言わないんですけど、『もうちょっとたったらひどくなるから、今からステロイドを使いましょう』って。びっくりしましたね」
 ちょうどその頃、たまたま知り合いの女性が始めた治療法が、オムバスの自宅温泉湯治。彼女は長年使ってきたステロイドを断ち、湯治に踏み切った矢先だったのです。
 病院でのいきさつを聞いたその人は、日本オムバスの山田隆社長が書いた『アトピー!』(ダイヤモンド社)を届けてくださいました。
「読んだらもう、これで治すしかないと思いました。薬を使わない、何を食べてもいいって書いてありましたので、その夜二人で話し合って決めたんです」

3時間ごとにお風呂
一日中そのくり返し


 翌日、早速オムバスに予約電話を入れ、みんなで藤沢を訪れたのが96年12月9日。4カ月検診でショックを受けた翌月のことです。
 生後5カ月の陽奈乃ちゃんは、炎症で真っ赤に腫れたほっぺ。足は鮫肌のようにザラザラでした。でも、パパママの決断の早さが、幸運を呼び込んでいきます。
「すごくラッキーだったんですけど、いきなり会長さんに会えたんですよ。『これなら6カ月か7カ月で治るから頑張りましょう』って、すごく力強くて。もう大丈夫だって、安心しちゃいました(笑い)」
 96年12月18日、明るく前向きな気持で湯治をスタート。朝晩は自宅のお風呂で、日中はママの実家で、陽奈乃ちゃんの湯治を軸にした生活が始まりました。
 温泉を水道水で50%に薄め、最初は1回15分から。慣れるにつれて20分、30分と時間を延ばしていきます。
「朝起きて1回目を入れたら、その時間から数えて3時間ごとに1日中、寝るまでそれをくり返して……。つらくても、治してあげたい気持だけでした」と奈生さん。
 まだ一人でお風呂に入れない赤ちゃんの湯治は、大人が抱っこして一緒に入ることに。昼間の湯治を実家に頼れる分、奈生さんの負担は軽くなったはずですが、それでも陽奈乃ちゃんが重篤期を抜けるまでの生活は闘いでした。


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