聖一さん
湯治を始めると、抑え込んでいたバネがはじけるように噴き出してきた離脱。掻いて傷をつくれば、その分回復が遅くなると思い、歯を食いしばってかゆみに耐えた。

小学校に上がる前に
治してあげたい!


 専門の医者でも使い方が難しいといわれるのがステロイドです。それが薬局の店先で、誰でも手軽に買えてしまうという矛盾――。
 わが子には塗りたくないという思いに逆行して、仲美ちゃんのステロイド依存はじりじりと進みつつありました。
 そんな矢先、オムバスの自宅温泉湯治を見つけてきてくれたのが、近くに住んでいる母方のおばあちゃん。最初から大乗り気のおじいちゃん、おばあちゃんとは反対に、聖一さん由美子さんは半信半疑でした。
 書店で手に入れた『大増補・アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本』(小川秀夫著/かんき出版)を読んでも、今一つ信じられない気持だったとか。
「いろいろやってきて、結局治ってなかったですからね。お風呂に入るだけで治るなんて、本当かなあって(笑い)」
「とにかく話だけでも聞きに行こう」と、強力に後押ししてくれるおじいちゃんのクルマに乗り、家族総出でオムバスに向かったのが95年12月4日。その10日前に一切の薬を断った仲美ちゃんは、すでに離脱が始まっていました。
 顔以外は全身の皮膚がガサガサにめくれて掻き傷をつくり、滲出液で貼り付いた下着をはがすのも一苦労。前年の12月1日に生まれた弟、匠陸くんにも軽い乳児湿疹が出ていました。
「孫を見るたびにひどくなってるから、『小学校に上がるまでにはきれいにしてやりたい』『このままだと勉強にも集中できないし、いじめも心配だから』って。やっぱり、おじいちゃんおばあちゃんが一番心配してましたね」(由美子さん)

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