見違えるほどスベスベのうなじ。黒ずんでいた皮膚も、健康的な肌色に戻っている。半分抜けていた眉毛もしっかり再生し、表情も本来の明るさを取り戻した。

2年ぶりの里帰り
お土産は回復の自信


 湯治開始から1年たった98年の夏。ずっと100%で入っていた温泉を、毎月1個ずつ減らしていくことになりました。もう、激しい離脱が戻ることはありませんでしたが、きれいになっていた部分に軽い炎症が出てはガッカリするくり返し。後半の湯治は、焦る気持ちとの闘いです。精神的に落ち込むたびに、佳代さんの「田舎に帰りたい病」が始まって、和弘さんを困らせたといいます。
「うちの田舎を舞台にした推理小説を読んだり、テレビで特集したりしてるのを見ると、『帰りたいよぉ』って泣いたりして(笑い)」

 アトピーがひどくなって以来、2年ぶりの帰郷がかなったのは98年の暮れでした。たっぷり2週間、実家で過ごす間は1日1回、普通 のお風呂に。それでもまったくぶり返しはなく、心身ともにすっかりリフレッシュした佳代さんは、回復の自信をおみやげに、和弘さんのもとへ帰ってくることができたのです。
「良かったですよぉ。実家に帰ると精神的にすごく楽ですよね!」

 カウンセラーのアドバイスに従って泉質を変えてみたり、時間をかけ、段階を踏んで慣らしてきた成果 でもあります。
「カウンセラーからは、あまりうるさいことを言われませんでしたし、マイペースでやらせてもらえたので気楽に湯治できました」と言う佳代さんに、「いつ電話しても留守電だったんですよ」と苦笑する山田進カウンセラー。とはいえ、体の状態から精神的な不安まで細かく書き込まれた報告書によって、佳代さんの状態は、手に取るように把握できていたようです。

自宅温泉湯治療法の
重大なる副作用とは


 99年のお正月には沖縄旅行も楽しみ、万全の状態で「修了証書」を手にされたのが99年3月28日。もう、そばで和弘さんが寝返りを打とうが電気をつけようが、ぐっすりスヤスヤの佳代さんです。家事も「半分は」できるようになりました。

 実は、佳代さんの湯治をきっかけに、和弘さんは料理の楽しさに開眼されたよう。「鍋とか包丁とか、けっこう料理の道具を買ってしまったんですよ。やってみれば面 白いところもありますからね」と、ちょっぴり照れ笑いの和弘さん。何と、専用の「MY包丁」まであるのだとか。温泉湯治療法には、人生の幅を広げるという副作用があるのですね。
「あのとき、薬さえ使わなければ……とは思いますけど、こうやって集中的に治すことができて本当に良かったです。長い人生、やはり体が資本ですもんね(笑い)」(佳代さん)

 すっかり健康を取り戻した無邪気な笑顔に、白い歯がこぼれます。見守るような和弘さんの眼差しがまた温かい、温かい……。

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