顔はかき傷に覆われ網目状に切れている。全体的に皮膚には弾力性がなく、色は赤黒くくすんでいる。湿疹に覆われた腕は部分的に皮が剥け、痛がゆかった。

かゆみのピーク、眠れない夜で最悪の夏。肌が肥厚しているせいで湿疹の見分けがつかなくなっている。足などは象の肌を通り越しゴムのよう。足首が赤い。
今では後悔。
オムバスをすぐには
信じられなかった


 知る権利はある。ステロイドの弊害を医師が教えようとしないのなら、自分で調べようと、由起子さんは書店へ向かい、『アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本』(小川秀夫著/かんき出版刊)を手にしました。

「症例写真の数々は、私がおぼろげながらも想像していた通りの結果を物語っていました。書かれていた内容も理論的で理解しやすかったです」

 はじめは『魔法の薬』とまで喜び、そこから2年間使い続けた薬が、もはや憎らしく映ります。本を読み終えるや否や、由起子さんは、チューブの数々を躊躇なく捨てました。

 薬を自主的に断って1カ月したある晩、明沙ちゃんは全身から発するあまりの痛みに「ギャーッ!」と悲鳴を上げて泣き出しました。見れば皮膚全体がゴワゴワに肥厚しています。薬はやめても、ケアの仕方が分からないまま、この肌をどう守るのか、策は見つかっていなかったのです。

「あの本に出ていた温泉湯治の会社にすぐ行こう」と、ご主人。由起子さんは、「そこまで本当に重症なんやろか。オムバスに聞いてみたけど、費用が大分かかるようなこと言っていたし、すぐに信用するのも……。他にも手段を探すから」と、二の足を踏みました。

 早速、兵庫県下に1軒、ステロイドを使わずにアトピー治療をしているという病院を見つけ、明沙ちゃんを連れて行きます。確かに塗り薬は出されませんでしたが、飲み薬が3種類用意されました。「これ何ですか?」、聞いて初めて抗アレルギー剤・抗炎症剤・抗生剤だとの説明がなされます。続けて、「どうして飲まなければならないのですか?」と問えば、「僕を信じてたらいいんや!」と、質問に対する答えではなく、高圧的な言葉が返ってきました。その翌日、由起子さんはご主人と明沙ちゃんと3人でオムバスへと向かいました。


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