状態はさらに悪くなる。肌がますます肥厚してきた。背中も顔も一皮剥けたようで痛々しい。背中にはくまなく湿疹が。

感染症。頬の皮が剥け血が滲んでいる。お腹には深い皺が何本も横切り、腕は広範囲に渡りかさぶたが剥けた感じ。足は膝辺りにブツブツが広がっている。

湯治開始。
絶望感ばかりで辛かった


「お嬢さんは決して軽い方ではありませんね」。初対面となった玉城カウンセラーから告げられた時、『やっぱりか』とご夫妻は落ち込みます。それでもオムバスへの猜疑心がまだ完全に拭われたわけではなかったため、すんなりと温泉の手配はしませんでした。

「半信半疑の様子を察して、『ありとあらゆる方法を試してごらんになったらいい。温泉は最終手段に取っておいたらいかがですか』と、小川会長がおっしゃいました。その言葉でやっと信頼できました。しっかり始める意志が固まったら連絡しますと告げて藤沢を後にしましたが、帰りの電車の中では夫婦そろって『湯治をやろう』って気になっていました」

 明沙ちゃん2歳10カ月の春、最初の温泉が家に届きました。1回20〜30分が目標でしたが、幼い子どもには我慢の限界がすぐにきます。由起子さんも一緒に入り、時には泣いて暴れて湯船から出ようとする明沙ちゃんを押さえつけてと、想像以上の"たいへん"が日に何度も訪れるようになったのです。

 お兄ちゃんの海人くんは小学3年生、お姉ちゃんの麻伽ちゃんは小学1年生になっていました。夜のお風呂は子どもたちに任せられても、日中は由起子さんにすべてが掛かっています。同居していると言っても、ご両親は、別棟を構えて隣に住んでいらっしゃいますから、べったり甘えるわけにもいかなかったのです。

 温泉の力に促され、離脱は進む一方。かゆみ、痛み、体液、掻きむしりから出る血……。離脱のメカニズムが理解できていないと、はた目には悪くなっているとしか映らない状況が何カ月も続いていました。「お風呂なんかで本当に治るのか?」と、おじいちゃんに聞かれる回数も増えます。その度に気分が沈むのを抑えて「大丈夫です」と気丈に答える由起子さん、誰にも弱音が吐けません。本音では由起子さんの方が『本当に治るんやろか』と毎日落ち込んでいたのです。真暗闇の中、最悪の夏が訪れようとしていました。

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