肌の色が子どもらしいピンク色に戻りつつある。膝・足首・肘にはかすかに湿疹が残るため、鳥肌状にプツプツしている。手足にはしつこく症状が残った。

症状というほどのものではないが、膝・膝裏の肌だけが、本来より少し硬い。最後まで引きずった手足の症状もここまでくれば完治目前、かゆみももうない。
目標だった
「幼稚園入園まで」
どうにか間に合った


 上のお子さんたちにはアトピーの経験がなかったため、子どもは、外で遊んで、良く寝てと、それを普通と受け止めていた由起子さん。明沙ちゃんが比較的普通に過ごせるようになるまでには2年以上の湯治生活が必要でした。

 そこに至るまでも、症状が見た目に現れていようが、家に閉じこもりきりは良くないと、努めて日に一度は外に出るようにしていたそうです。

「人の視線が突き刺さるって、こういうことやねんなって実感しました。気晴らしで外に出ているはずなのに神経はピリピリしていて、この子を絶対一人にしないように、誰にもこの子を傷つける言葉を言わさないように、殺気立ってガードしていました。買い物の時も、誰からも言葉を掛けさせない。絶対、守るって」

『明ちゃんがかわいそう。この子だけが辛いなんて』、ずっとそう思い続けてきた由起子さんでしたが、ある日、近所のお子さんが入院していると聞き、お見舞いに出かけた病院で、幼い多くの子どもたちがベッドに横たわっている姿を目にしました。小さい赤ちゃんの腕につけられた点滴の管、遊びたいだろうに起き上がれない子ども……。

『何を考えていたんやろう。自分たちだけが苦しんでるやなんて』。そう気づかされた由起子さんは、それまで湯治、湯治とガチガチに頭を縛っていた考えがスルスルと体から抜けていく感覚を覚えたといいます。

 回数も時間もノルマ的にこなし、お昼寝で湯治ができなければ夜中でも強行したこともありました。『そんなことじゃないんだ』。その時からゆったり構えて生活バランスを大事にすることを考えるようになったそうです。

 肩の力が抜けた頃とちょうど重なるようにして、明沙ちゃんの状態はジワジワ上向きになっていきました。夜もいつの間にか眠れるようになっています。大きな離脱・感染症を克服して湯治開始から丸2年、幼稚園へ通い始める頃には、完治一歩手前にまでこぎつけていたのです。

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