顔から首回り、背中、腕……足以外は全身が強い離脱で覆われている。掻き傷の痛みと激しいかゆみで、睡眠はほとんど取れない。眉毛も抜けてしまった。

  バレーボール歴10数年。一見、ポキンと折れそうな細身からは意外なほどの体力は、中学校のときから白球を追いかけて培われたもの。関口さんは25歳の今も、社会人チームのメンバーとして活躍していらっしゃいます。
「予想以上に早く治ったのは、気心の知れた仲間のおかげかも。離脱で動けなかったとき以外は、しょっちゅう外に連れ出してくれたから、内にこもらずに済んだんだと思います」
 中1の冬、肘の内側に出た皮膚炎が、ずっと軽症にとどまっていたのもバレーボールのおかげかも知れません。部活で毎日汗を流していた中・高時代はほとんどかゆみ知らず。最初に皮膚科でもらった軟膏が、何年も減らないほど軽いものでした。
「最初のきっかけらしいものは特にないですね。皮膚科で『体の左右対称に出てるからアトピーかも知れないね』って言われても、あまり気にもしませんでした」
 中・高時代にアトピーで悩んだ記憶は皆無。ずっと肘の内側にとどまっていた軽い炎症が、じわじわと顔や首回りに広がってきたのは大学生になってからでした。

薬、注射、漢方薬で
治ったはずだった


「その頃は楽しいからわからなかったんですけど、今思うと無茶苦茶やってました。食べ物はコンビニだし、朝の6時まで公園でしゃべってたりして睡眠もろくにとらない。そういう不規則な生活が2、3年続いたところで、就職活動というストレスがかかってひどくなっちゃったんです」  ほとんど塗らずに済んでいた薬を、毎日塗るようになっても、かゆみは強まるばかり。病院で受けた血液検査で、ダニとハウスダストに反応が出ると、同様の成分を注射して抵抗力をつける治療法をすることになりました。数種類わたされた軟膏の中には、医師いわく「子どもでも大丈夫なステロイド」が。並行して漢方薬も内服し、あの手この手の治療法を総動員していきます。その結果、1年後にはきれいになっていたのですが……。 「就職してストレスがかかってきたら、また……。しょうがないから皮膚科に行って、弱めのステロイドを塗るようになったんです。だけど、1カ月ぐらいかな、効いてたのは」  効かない薬を気休めに塗りながらの会社勤め。営業マンの関口さんは、自分でクルマを運転して顧客先を回るのです。 「よく死ななかったなと思いますよ。かゆくてかゆくて、夜ほとんど寝てませんから、運転しながらウトウトしたりして」  赤みの強い炎症は、すでに顔から上半身全体に広がっていました。化膿した掻き傷からは膿が噴き出してきます。 「お客さんから聞かれるんですよ。『どうしたんだ?』とかって。顔見てしゃべれなくて、ずっと下向いて説明してました」


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