さらに発疹は顔中に広がった。近所の人たちが湯治を観察にくる。変な目で見られていた。

やった!スベスベ肌だ。早くも湯治卒業かと両親は大喜び。しかしかゆみは引いていない。

「肌の色が正常な肌色ではない」と指摘され不安。こんなに可愛くてツルツルなのに……。

湯治開始?
迷いにまよった3カ月間


 どんなアトピー関連の本を見ても、ステロイドと上手くつきあうことがベターと書かれている中、『アトピー性皮膚炎の治し方がわかる本』(小川秀夫著/かんき出版刊)にだけは正反対の内容、つまり、ステロイドを否定し、自力本願で治そうと書かれていました。
「アトピーは治る病気だと断言しているのも他にない特徴でした」(裕次さん)
 温泉湯治をすぐにも始め、美香子ちゃんをこの方法で救おうとするご主人とは対照的に、何もかもが不安で疑い深くなり、湯治への一歩が踏み出せないままでいる可奈子さん。意志が固まらないままに一度3人で日本オムバスを訪ねています。
「1日に何回もお風呂に入れることが果たしてできるのか、しかもそれを何年も。美香子はそこまで重症かしら。他にも試すべきことはあるかもしれない。オムバスって信じられる会社なの? 温泉で本当に治るの?……って迷ってばかり。全く踏ん切りがつかない日々でした」(可奈子さん)
 その間、知人から勧められるままにシソクリーム・甘草エキスなども試したそうです。「10万円分なんてアッと言う間」。それでも効果は得られません。
 その頃、BCG接種のために市の保健センターへと美香子ちゃんを連れていった可奈子さんは、最初に訪ねた皮膚科の医師と鉢合わせしてしまいます。ちょうどその日の担当医だったのです。 「どうしてこんなボロボロになるまでにしたんだ! 薬塗って治してから出直してこい!」。美香子ちゃんを一目見るなり大勢の前で罵声を浴びせる医師。居合わせた看護婦さんが後になって「あの時、この子ほどひどいアトピーの子はいなかったからね。でも、先生にああ言われて奥さん死んじゃうんじゃないかって心配したわ」というほどの状況でした。
 ズタズタになった可奈子さんをさらに落ち込ませたのがヘルペス感染です。真っ赤でジュクジュクになってしまった美香子ちゃんの肌、起きていてもトローンとした目、「伝染る」と露骨に避けられた哀れさ。「もう温泉しかない」。湯治開始を決意したのは、オムバス来社から3カ月経った頃、美香子ちゃんは生後5カ月になっていました。


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