誰からももうアトピーを指摘されることのない肌が蘇っている。皮脂も自分の内なる力で十分にまかなえている。




足はすっかりきれいに。手の甲・お腹の色素沈着も気にならない程度にまで回復している。

「卒業」の言葉に
涙があふれた


 ヘルペスの跡が消えていったのは、同じ年の秋。アトピーらしい症状もほとんどなくなり、気づけば、二人ともに皮脂は十分に出ています。10月の面 談で、カウンセラーから、待望の「同時卒業」という言葉を聞けたとき、はまのさんは全身ゾクッとする思いと同時に大きな喜びに包まれました。

 同席された豊さんにしても同じこと。家族全員で手に入れた勝利です。
「オムバスを出て、庄司の母に電話をしました。『アトピーとの闘いがやっと終わりました。本当にお世話になりました』とお礼を言うと、後は涙があふれて、言葉にはなりませんでした」(はまのさん)

「良かったね。おめでとう。気をつけて、気をつけて早く帰っておいで」。短くも思いやりのこもったお義母さんの言葉。やはり声は涙で震えていたのです。次いで実家のお母さんにも報告すると、「庄司さんの皆さんにしっかりお礼を言いなさい。きちんとお礼しなさい」と、また涙、涙……。皆が笑顔ながらに涙で頬を濡らす、そんな1日となりました。
「お義姉さんの存在が、どれほど私を励ましてくれたかは分かりません。風邪をひいたとき、周りが薬を勧めたりすると、嫁の立場ではきつく断れないのを代わって、皆の前で説明してくれたこともありました。ありがたくて……」

 いろんなできごとを笑顔ながらに懐かしむはまのさんと豊さんの周りを、涼介くんがパタパタ走りまわります。
「子育てを楽しむ余裕もできて、今、世間のお母さん方が普通になさっていることを喜びと噛みしめられることに、ありがたさと幸せを感じています」とも。

 我が子の育児をそばで眺めるだけの、胸の詰まる思いも、申し訳なさだけで役に立てないと悲しんだことも、もはや思い出にすぎません。

 涼介くんと手をつなぎ、頬ずりをする、これさえままならなかった“あの頃”を知らない人たちが、「良かったね、お宅の子、アトピーじゃなくて」と、声を掛けるそうです。

 取材の席、微笑ましく見つめる大人たちの視線に応えて、涼介くんが、抱負を話してくれました。
「あのね、トーマスに会いに、イギリスに行きたいの」。泣いてばかりいた赤ちゃんが、今、とびっきりの笑顔を輝かせています。

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