湯治を始めて半年。肌の状態は既に良化している。この3カ月前、リンパ液で髪が張りつくため、坊主頭に。その後の一進一退を経てここに辿り着く。

夏の天王山には
間に合うだろう


 渋々、日本オムバス大阪に「行ってやるワ」と、茂之さん。「ムッ」とする気持ちを抑えて「連れて行ってやるワ」とお母さん。しかし、レクチャーを受けた後は、茂之さんもかなり気持ちに変化が生じていたようです。『今、治しておかねば!』、薬の使用歴が浅く、溜め込むほどの量 でもなかった、これから必死に取り組めば、受験勉強の大詰め、高3の夏休みには間に合うだろうと、楽観的にも捉えていました。それが、高校2年の冬のことです。
 茂之さん自身は、アトピーになるような、思い当たる節はなかったと振り返ります。何が原因だったのかを追求しても仕方ないのかもしれませんが、今後のためにも、押さえておきたいポイントです。
 「中学時代は通学で往復1時間歩いていた。高校になるとバス通学で歩かなくなった。体育会系の部活動をしているわけでもない。昨日徹夜をしたから今日病気になるというものではなく、1年前から積み重ねた運動不足が2年生になってアトピーとして現れたというのは考えられることです。代謝機能の低下は悪癖の積み重ねによるものです」(柴田博行カウンセラー)
 始めると決めたらやるしかない。学校も湯治も、できるだけ両立させようを基本スタンスに、「湯治のある生活」が始まります。
 「温泉が届いたら、『さあ、始めるよー』の母の一声で、家にいる全員が部屋からタタタッと出てくるんです。浴室が2階にあるので、廊下・階段・風呂場と、自然発生的に決まった各担当が、持ち場ごとに運んでくれました」(茂之さん)
 湯治開始直後は10ケースを運びました。「口には誰も出さなかったけど、『これはエラいことが始まったな』と、皆、内心思っていたでしょうね」(牧子さん)



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