丸く出ていた炎症がつながるようにして赤みが全体に広がっている。滲出液が出だし、首周辺、背中全面、上腕部の赤みが強まった。膝裏のかゆみもきつい。


「必ずゴールはくる」と
「死んでしまいたい」と


 ステロイドの正体を知ったその日から薬を断ち、とにかく治さないことにはと、落ち込む気持ちを奮い立たせる薄雲さんですが、体がいうことを聞いてくれません。薬をまったく塗っていなかった顔や首もボコボコになり、夜は眠れず、動作も緩慢になるほど、思うように体が動かなくなっていたのです。これまでに感じたことのないしんどさにどっぷり包まれていました。
「辞めたいと思いながらも、できるところまで頑張ってみようと仕事を続けていましたが、もう限界」。社会人1年目のクリスマス目前に職を失うことになろうとは、ご本人も周りの方々も誰も思ってみなかった出来事です。

 その1カ月ほど前に薄雲さんはお母さんと日本オムバス大阪を訪れています。とりあえず温泉の手配ができるまでの間、入浴剤トピュアを使うことにし、1日でも早く温泉を始めたいと強く願っての来社でした。
「運動もされていたので、体の土台はできているはず。炎症も、丸く赤くはっきり出ているタイプの柔らかいもので、しつこい色素沈着もありませんでしたから、順調に回復するものと予測しました」(宮治カウンセラー)
「その日お会いした山田隆先生にも『すぐに治りますね』と言われて、そういう言葉がすごく嬉しかったのを覚えています」

 退職した翌日から、本格的な湯治が始まりました。平成8年12月21日のことです。「すぐに治る」、その言葉が確かでも治すのは自分。

 温泉の力に促され、症状は全身に広がっていきました。限られた場所にしか出ていなかった炎症が、次々いろいろな部分に出てくることで精神的な落ち込みは増していきます。
「『ひどいもんやなぁ』と言いながらも、家族が明るく励ましてくれているのが分かりました」。ご両親、弟、おばあさん、そして、新しくできていた彼女(現・奥様)、みんなが一つになって力強く応援してくれています。

「皆に応えたい。体は辛いものの、心だけは穏やかに保っていたい。僕にはラグビーで鍛えた根性もある。絶対負けへん。ゴールは必ずあるんやから、耐えぬ こうってそう言い聞かせてはいるんですが……」。体の辛さが精神面を優に上回って、浪花のラガーマンの根性をへし折る瞬間が幾度となく訪れたのも事実。たじろぎもせず、じーっとうずくまっている眠れぬ 夜、ほてりを夜風に当てて癒そうと、ゆっくりゆっくり2階のベランダに出ると、そこから身を投げてしまいたい衝動にかられてしまうことも何度もあったのだそうです。
「落ちても死なん高さですけどね(笑い)」

 ポジティブとネガティブが気持ちの中に同居していました。それは、ラグビーボールの転がりよりも複雑なものだったのでしょう。

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