脇にうっすら色素沈着が見られる。膝裏はまだ赤く皮膚もザラついてはいるが、もうかゆみはなかった。全身、どこもかゆくない。色素沈着が消えたら卒業だ。


アトピーが波瀾万丈を
連れてきたよう


 ここまで回復しても、怠けず湯治を続けてきた甲斐あって、色素沈着と部分的なかさつきを残すだけとなった11月、現在の勤め先である知的障害者の方々の施設に指導員として就職が決まりました。そこで男のけじめ。ずっと支えてきてくれた彼女と晴れて入籍です。次々に叶えた夢、ご家族もどれほど安心なさったことでしょう。

 しかし、薄雲さんが取り戻した健康をしっかり確認し、大きな安心を得られた後にお父さんが急逝。それはあまりに悲しいできごとでした。

「まさに波瀾万丈」。にこやかな薄雲さんから笑顔が消えた一瞬です。大学を出て、1年も経たないうちに職を失い、経済的にも精神的にも惜しみなく助けてくださったお父さんを、こんなにも早く亡くすことになってしまった……、これから親孝行という時期、無念さが薄雲さんの表情に見て取れます。
「もちろん、母にもうんと感謝しているんですよ。何もできずにうずくまっているだけなのに、洗濯物だけは人一倍出していた時期に、文句も言わずせっせと世話してくれたし、弟・祖母にもずいぶん励ましてもらったし、本当にありがたかったです」

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